狂気凶器エフェクタの会
創設準備解放会報06号

創刊:2004年08月25日

更新日:2007年04月14日

お問合せは:effecter@ohnesahne.sakura.ne.jpにどうぞ。


■凶器エフェクタの会 第3回セミナのご報告■

(文責は、文字色(黒)はとりぃ、文字色(藤)はおーつか文字色(こげ茶色)はありまです)

日時:2007年03月24日(土曜日) 午前10時〜午後9時

場所:埼玉県ふじみ野市武蔵野集会所



春到来、冬眠中の熊も地中の蛙たちも目覚め始める、今日この頃。
ゴソゴソ。ゴソゴソ。 ほーんと、暖かい日でした。30分も道に迷って歩き回ると特に

皆さん、すみませんでした(汗)。けど、私は迷いませんでした(なぜ?)。

そして、2年間の沈黙を破って、ヤツらも動き出した。
2007.3.24(土)、凶器エフェクタの会第3回セミナ、埼玉県ふじみ野市で遂に開催。

今回は過去最高総勢24名の参加者。遠く大阪からも2名、オマケに初の小学生2名も。
(次回は、初の女性参加者に期待がかかるな)

会場は地域集会所。


フローリング床に会議机が整然と並ぶ(早出組の皆さんに感謝!)、



セミナールームの続きには、なんと畳敷きの和室が。



これがまったりとくつろげる、なんともいい空間。
有馬さん差し入れの大福と渋茶(こちらはキムラ氏)がウマイ。

そうこうしてるうちに、大塚先生登場。
ほぼ定刻(の15分遅れ)通りにセミナが始まった。午前の部は、座学。

回路を構成するパーツの種類と特性を、実践的な使用法を前提にレクチャー。



現実に即していてわかりやすいから、抵抗感なくス〜っと頭に入っていくけど、意外と書籍では得難い内容。これぞライブの妙味。
実は、私の目的は所謂パーツ趣味の殲滅であったのです。信仰にも似たウソ八百を、感情論ではなく、理論で批判したかった。
腐った電線がはびこったり、やたら高価な古物コンデンサが珍重される世界は異常ですからね。


[抵抗]
・金皮抵抗は低雑音、はウソ

抵抗から生ずる雑音のレベルは、その抵抗値で決まります。熱雑音というものです。ウィキペディアあたりで調べてください。
抵抗値が同じであれば、発する雑音も同レベルです。金皮がローノイズという伝説は、どこから生まれたのでしょう?(抵抗屋?)。
もうひとつの要素の「精度」では、たしかに金皮などの高精度抵抗が良いように思えます。でも実際はカーボンで充分。
安価な100本袋を買ってきて、実際にテスターで当たって選別しちゃいましょう。大手の研究所でもやってますよ。
結論として、少なくともエフェクタの世界では、金皮など意味なし。新興宗教は金がかかりますね。イワシの頭くらいでやめるべきかも。
[IC(オペアンプ)]
・ノイズ特性/消費電力/入力インピーダンス/周波数特性/負荷特性
オペアンプを変えれば音が変わって当たり前です。でも、あるオペアンプで出た音が気に入ったからといって
「833を使うべき」みたいな決め付けを公表するのはバカです。単にあなたの趣味だろうが。意見としてならおおいに書くべきですけど。
そんなことより、オペアンプは適材適所で使わなければうまく行きません。選択の指標は上に書いた5項目です。
セミナでは項目ごとに説明しました。
なお、通常の使用では833は4558系に置き換え可能です。音を少しキラキラさせたければ353でもOKでしょう。
[ケーブル]
・表皮効果、結晶粒界、PCOCC
「ケーブルで音が変わる」と信じてる人、いますか? そりゃ、ケーブルもインピーダンス持ってますから、変わるといえば変わります。
ただし!これはあくまでも限定的な用途においてです。つまりスピーカ・ケーブルとレコード再生カートリッジ・ケーブルだけ。
その他の用途では音が変わるような腐れケーブルなんぞ使ってはいけない、と思います。変えたければ回路で変えましょう。
ところで、、、
電線に電気が流れるとき、電気は導体の表面に沿って多く流れる性質があります。これを表皮効果といいます。
錆びた導線を使うと、要するに電流が錆びにケつまづくわけです。結果としてロスが増え、特に高域が落ちる傾向になります。
(どうしてもそんな電線が欲しければ、配線材から細い線を1本取り出し、3日ほど酢に漬けておけば出来ますよ)
さらに、、、これはやたらと細かい話ですが、
ケーブルは金属であり、金属は結晶で成り立っています。結晶と結晶の境目を結晶粒界と呼ぶそうです。
電流がここを通るとき、やはり少しはツンのめり、高域の信号を落としてしまいます。
けど、私たちがふつうに聴いている音は、そんなケーブルを通った音ですから、あまり気にしないでください。
PCOCCというオーディオ用のケーブルがあります。単結晶銅線という超高価なものです。
文字通りこれは銅の結晶を長く引き延ばした線材。粒界がありません。前述の二用途に使うと霊験あらたかです。
じゃPCOCCを機材の配線材に使えば、なんて考えるのは愚かです。硬くて使いにくいし音は変わりません。(変化わからず!)
つまり、金をかければいい、っていうモノじゃないのです。お金よりもアタマを使いましょう。


[コンデンサ]
・電気が流れるものが2つあれば、必ずコンデンサ効果が現れる。人類皆兄弟。
・漏れ電流/周波数特性/精度
コンデンサで音が変わるのは事実です。しかし高価なコンデンサが良いというのは根も葉もないデマ!ビンテージ品珍重には大笑い。
年代物のコンデンサは確実に容量抜けしています。そんなものを大事がる一方で高精度な製品も有り難がるとは、、、
コンデンサの迷信を解くべく、まずコンデンサの基本から説明しました。今回は馬糞と銀蝿の例は出しませんでしたが。
主な用法にはデカップリング、カップリングと時定数素子があります。音の良し悪しより、まず用途に合った選択が必要になります。
選択の基準として上の3項目が考えられ、さらにどんな種類のコンデンサを使ったら安全か、という問題にもなります。
その辺を、実例を挙げながらお話しました。たとえば、デカップリングにタンタルを使うのは危険覚悟だ、とか。
ま、全部わかった上で「良い音」の追求をしてください。エフェクタじゃ、ほとんど無駄な作業になりますけどね。
よどみないハイペースでここまできたところで、小休止タイム。大福がウマイ。

続いて、オームの法則。肝要な分圧。
「やんなくていいか?」との大塚さんの問いに、遠慮気味の皆の衆。
そこで3回目となる私が図々しくもリクエスト。
分圧だけは押さえておきたかったのです。知らないと真空管わかんないですから。
これで3度目の正直、やっとこ理解できた模様の私。
ただ、駅の改札口で滞ってるオバハンを見る度に、V(E)=IRの公式が頭に浮かぶようになってしまった。
電圧上げて、突破しなくては。
「ボルテージが上がってきた〜」ってな言い方も根拠あったんだな。
電流はその名が示す通り流量であり、電圧は圧力である。
表意文字ってスゴイ。

ちなみに座学の途中、(予想通り?)警察官氏登場、職質を受ける。
地域住民からの通報とのこと。音出し前だから、看板の「凶器」の文字に反応したか?

はい、そのとおり!汚い字のはり紙やらへんなマスク、さらにはあやしい珍品堂パウチ(イラスト:佐原輝夫さん)などが官憲の琴線に触れた模様です。

しかし受験直前ゼミの如く、シーンと静まり返った中で異常に集中してる参加者達を目にした警察官氏は、さぞ当惑したに違いない。
キムラさん、お疲れさま。
ん!全然知らんかった。私を対応に出さなかったキムラ氏は好判断。「はい、凶器持ってます」って言うもんね。

そして今回の座学の目玉、「魅惑の真空管回路」へ話は進む。

ここまでで大量の時間を費やしたため、残念ながらダイジェストになってしまった。
もっといろいろな基礎知識と雑学(どこにも書いてないこと)を話す予定だったのです。
しょうがないので方針を変えて、有名サイト”情熱の真空管”に違和感を感じない程度までの知識をやりました。

真空管の歴史をひも解き、二極管、三極管、五極管、ビーム管、番外のマジックアイ、定電圧放電管(スタビロ)も。



過去の遺物としてではなく、動作が「見える」稀有な実動パーツとして、意識が改まった。
ヒーターが赤くなるにつれ、電子が飛び交ってるのが見えるような気がしてしまって。
「分圧」の理解が肝要だった。

14:30、お昼休み。
熱気溢れる好演で空腹も感じなかったと言えば、嘘になる。実はペコペコ。(先生ごめんなさい)
みなさん三々五々、食事を求め散っていったが、大半はコンビニ弁当で落ち着いたみたい。
和室で、皆でのんびりとランチタイム。ゆんたくゆんたく。

ここから、歴代最年少参加者、?君兄弟が、参加。お兄ちゃんは小学5年生、弟さんは、なんと1年生。
最初はおずおずとしてて、なかなか中に入ってこれなかったけど、最後はそりゃもう。ミニ台風。
有馬さん、お疲れさま。

15:30 再開。
午後の部、先ずは音出し品評会。
皆さん持ち寄った既成&自作エフェクタを実際に鳴らしてみる。
今回は?木さんのご尽力により、オシロスコープを配備。それもテクトロニクス製、これで波形を鑑賞。

余談だが、高木さん曰く「300以上」ってんで、300MHzかな〜っと思ったら、300万円以上もする高価な機械だった。
くわばらくわばら。

大塚先生による代表的なファズの原理(過増幅、非直線増幅、クリッピング、発振系)について解説の後、キムラさんの手による5個イチなストラト+VOXアンプの構成で、ファズの聞き比べ&波形の見比べ。
先ずは、典型的な矩形波ファズ、歴代FuzzFaceが4機登場。



その後、モノホンのFUZZTONEや珍品FUZZSTAIN(戦車?)、そして参加者のハンドメイド機が続く。



01. FuzzFace70年代(シリコン)
02. FuzzFaceリイシュー(ゲルマ)AC128
03. FuzzFaceリイシュー(シリコン)BC109
04. FuzzFace Arbitor

05. FuzzTone (Maestro)
06. FZ-1 (大塚さんトコの)
07. FUZZSTAIN (エレハモ)

08. MuffFuzz (TR Version) 有馬さん作
09. MuffFuzz (OP-AMP Version) 有馬さん作
10. SuperEdge2 武田さん作(回路考案:高橋さん)
11. Super九龍 高橋さん作
12. FFFworksさんの作品いろいろ
13. FUZZrizer2 千石ファズ研究会製
14. マウンテン2 武田さん作


残念ながらこのへんでタイムアップ。後ろ髪引かれつつ次のお題目、ハンダづけ実習に移る。
歳だぁ〜。私はこの辺で肉体的限界。庭でチェーンスモーク。実技指導は過去参加者のみなさんに任せてしまった。
その代わり、いろんな方々の個別質問にはしっかり答えれらたと思います。次はちゃんとやるからね(ホントか?)。

4つの班に分かれ、ハンダあげ、蛇の目基板、立てラグ板(からげ線材1本、2本、3本)、フォーンプラグ、RCAプラグと課題に取り組む。
蛇の目基板、立てラグ板ともに年季を感じさせる一品。ハンダのノリが悪いことったら。



小学生兄弟には、キムラさんと武田さんがつきっきり。
弟さんはともかく、お兄ちゃんは巧い。最後には、あのイヤらしいRCAプラグも完了。お見事。



「プロのハンダ師」野呂さんの卓も白熱。貼りついて、もっと技術を学びたかったな。

私は、鉛ハンダと銀ハンダで100マスならぬ25マスづつでタイムトライアル。
銀ハンダを使うのは、これが2回目。濡れ性が悪いとは聞いていたが、たしかに富士山にならない。
上手く出来ていてもイモハンダみたい。キラッと光らないし、妙なタイムラグがある。
いいことないなぁ、無鉛ハンダ。
だからぁ、効果不明の環境保護や嫌煙権には反対なんです。生きにくくなるだけだもんな。鉛ハンダ買い込みましょう。

さてさて、とっぷりと日も暮れ主なお題目も終了、ホッと安堵感が漂う会場。

この後は、フリータイム。ここでも回路説明したかった。今回はヘバってて無理でした。

というわけでここではたかぎさんはじめみなさんで講議というか意見交換してました。
皆で持ち寄った機材を鳴らし比べ、ぐっと交流会っぽい雰囲気に。
コミヤさんのNEGISTOR、面白かったなあ。

歪み物が多かったけど、すごい音の機械もありましたね。日本の自作パワーも捨てたもんじゃない!未来は明るい。

そして最後に。
自己紹介を兼ねた、おみやげ授与式へ。

おみやげは、大塚先生から頂いたゲルマトランジスタ(2SB77)3本と、エフェクタ回路集CD-R。
何がいいか迷ったのですが、ゲルマ石なら使ってもらえるだろう、と。
家へ帰ってから、FuzzTone?、もしかしたらFUZZFACE?、皆さん作ってみた?

大塚先生にお言葉を頂戴して、ほぼ定刻にシメとなりました。

名残惜しさの余韻に浸りつつ、気持ちはすでに第4回セミナへ。え?すぐ?マジデスカ?
大阪開催が有力ですが、初の名古屋案も?

これからもゆる〜く、ひろ〜くつながっていけるといいですね。

みなさん、ご参加いただきありがとうございました。お仕事等で来られなかった方は次回ぜひ! 待ってますよ。


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